もつれた氣持ちは糸のようにほぐす。感じたことを、放っておくタイプですか?
アトリエの作業台の隅に、糸くずのように絡まった麻紐のかたまりが置いてあります。
シーグラスのネックレスをつくるときにに使う紐で、氣づけばいつのまにか、ひとかたまりに絡まってしまっていました。
このところ、少しずつ時間を見つけては、その結び目をほどいています。
急いでほどこうとすると、かえってきつく締まってしまいます。指先で、いちばん緩んでいるところを探して、そこからそっと引く。一氣に全部を解決しようとしないことが、いちばんの近道だったりします。
氣持ちも、これと似ているといつも思います。心配ごとや、人との間で生まれた小さな不協和音、言葉にならない感情。ひとつひとつは細い糸なのに、放っておくと、いつのまにか絡まり合って、どこから手をつけていいのかわからないかたまりになってしまいます。
全部を一度に解こうとしなくていいのだと思います。今日はこの一本だけ。今日はこの結び目だけ。そうやって、少しずつゆるめていくうちに、氣づけば元の一本の糸に戻っていきます。
アトリエでつくっているものの多くは、もとは壊れたり、絡まったりしていたものです。割れた貝殻、もつれた紐、流されてきた木片。そのままでは使えないものを、時間をかけてほどいたり、磨いたりして、ようやくかたちにしています。
感じすぎて疲れてしまう氣持ちも、根氣よくほどいていけば、いつか何かをつくる力に変わるのかもしれません。すぐには信じられなくても、そう思うようにしています。
猫はまた、ほどき終えた紐の端に飛びついて、新しく絡めようとしています。今日のところは、そこまでにしておこうと思います。