「ちゃんとしなきゃ」に縛られて、心がカチコチになった夜のほどき方
ふとした静寂のなかで、ずいぶん前に誰かに投げかけられた言葉が、不意に蘇ってくることがあります。「もっとしっかりしなさい」「あなたらしくない」——。送り主すら忘れてしまったような言葉の断片が、今の自分をじわじわと侵食し、呼吸を浅くさせてはいませんか。
かつての私も、「すごい人」になろうと必死に走っていました。デザイナーとして正解を出し続け、期待に応えることがすべてだと思っていました。けれど、パートナーに「今のあなたは、本当のあなたらしくない」と言われたあの日、その言葉は重い石のように私の喉のあたりに居座り続けました。

「しおかぜレモンのまち」に住むクレミの家は、完璧な左右対称をしています。けれど、その窓にはひとつだけ、私が意図して入れた「ヒビ」があります。
かつての私はヒビを「直すべきもの」だと思っていました。でも、太陽が出たとき、そのヒビから光が流れ込み、床の上に百個の小さな虹を描いたのです。ヒビがなければ、光はただ表面を滑るだけだったでしょう。
いま、あなたの頭を離れないその言葉は、体のどこに住んでいますか?
答えは出さなくてかまいません。ただ、受け取った場所を知るだけで、言葉は少しだけ、あなたから遠くなります。
この問いを10個集めた本を作りました。