山の中に海がある、不思議
「なぜ山の中で海の話を?」と、八ヶ岳の店を訪れる人によく聞かれます。私は今、森に囲まれたこの場所に「海のオアシス」を作っています。
学生の頃、私は海から遠い場所に住んでいました。一人ではなかなか行けず、部屋に海のポスターを貼り、波音のCDを聴いて、自分の部屋を「海」にしようとしていました。
大人になり、大切な人を亡くして葉山の海のそばへ移り住みました。そこで毎日貝殻を拾い、癒やされていく過程で気づいたのです。「海」とは場所の名前ではなく、私たちの心にある「静けさの象徴」なのだと。
今、私が山で貝殻の家を作っているのは、遠くにある幸せを羨むのをやめたからです。海が見えなくても、私の手元には葉山の砂浜で拾った貝殻があり、波に磨かれたシーグラスがあります。それらを並べるだけで、ここには潮風が吹き抜けます。
場所を変えることは難しくても、そこに置くものは自分で選べます。
いま、あなたの部屋の片隅に、あなたを「別の場所」へ運んでくれるものはありますか?
一つの貝殻、一枚の写真、一輪の花。それらが入り口(ポータル)となって、あなたの心をいつでも安心できる場所へと連れて行ってくれます。海は、ここからは見えません。でも、あります。