眠れない夜に
時計の針が刻む音だけが、やけに大きく聞こえる深夜。目を閉じれば閉じるほど、頭の中にはとりとめのない思考が渦を巻き、眠りの岸辺はどんどん遠ざかっていきます。明日のことが不安で、今日の後悔が追いかけてきて、ただ横たわっているだけの自分が、世界から取り残されたような気持ちになる。
かつての私は、この夜の静寂が怖くて仕方がありませんでした。けれど、八ヶ岳の森に移り住み、夜の配信で誰かと繋がるようになってから、夜の見え方が変わりました。
眠らなければいけない、という義務を一度手放してみる。夜は、何もしなくていい、誰の期待にも応えなくていい、唯一の「聖域」なのです。
無理に思考を止めようとする代わりに、今、あなたの周りにある「音」に意識を向けてみてください。
**いま、何が聞こえますか?**
遠くを走る車の音。冷蔵庫の低い唸り。自分の静かな呼吸の音。あるいは、何も聞こえないという「静けさ」そのもの。
音を探しているその数秒間、あなたの心は、未来の不安からも過去の後悔からも離れて、「今この瞬間」にだけ存在しています。眠れなくてもいいのです。ただそこにいて、世界が奏でる微かな音に耳を傾ける。
その豊かさに気づいたとき、夜の闇は、あなたを追い詰める壁ではなく、あなたを優しく抱く揺りかごに変わるかもしれません。
この問いを10個集めた本を作りました。